小説の書き方「工学的ストーリー創作入門」の紹介


はじめに

 ここでは、ラリー・ブルックス作の「工学的ストーリー創作入門 - 売れる物語を書くために必要な6つの要素 -」を紹介する。

Kindle版

工学的ストーリー創作入門

工学的ストーリー創作入門



書籍の情報

  • タイトル:工学的ストーリー創作入門 - 売れる物語を書くために必要な6つの要素 -
  • 発行年:2018年
  • 作者:ラリー・ブルックス
  • 翻訳:シカ・マッケンジー
  • 発行:株式会社フィルムアート社

工学的ストーリー創作入門

工学的ストーリー創作入門


この本で述べられていること

 この本では、「小説は6つの要素から構成されている」と述べられている。 そして、その6つの要素とは何か、なぜそれらの要素が必要なのか、 どうすればそれらの要素を用意できるのかなどについて書かれている。

 また、この本が言いたいことは「小説は論理的に書ける」ということだと考えられる。 具体的には、「小説にはフォーマットがある」という話だ。 小説は勘や感覚に頼って書くだけでは非常に効率が悪く、 ある決まったフォーマットに則って書くことが重要らしい。 そして、そのフォーマットというものがこの本に書かれている「6つの要素」ということになる。


おすすめポイント

 この本は、小説を書きたいけれども、「そもそも小説って何?」「小説ってどう構成されているの?」と悩んでいる人におすすめである。 この本では、勘や美的感覚などに頼らずに小説を書く方法が述べられている。 つまり、この本の内容を修得すれば、あとは自分のアイディア次第で小説が書けるということだ。 もちろん簡単ではないけれども、この本を読めば、小説を書くために「何が必要なのか」が分かる。

 私がこの本を読んで驚いたことの一つは、文章や文体というものは、あくまで小説を構成する一つの要素でしかないということだ。 私の頭の中では「小説=文章」だった。 しかし、この本によれば、優れた文章を書けるからといって、その本が売れるわけではないらしい。 文章は読者にストーリーを伝えるためのもの。 いかに簡潔に無駄なく、ストーリーを伝えられるかが文章に求められているものだという。

 このような発見があることも、この本をおすすめしたいポイントである。


6つの構成要素とは何か

 この本の中で述べられている「6つの構成要素」について簡単にまとめる。 まず、小説を構成する6つの要素は「コンセプト/登場人物/テーマ/ストーリーの構成/シーンの展開/文体」である。 これらの6つの要素がすべて揃っていなければ小説としては完成せず、また、これらの要素が一つでもプロのレベルに達しないのであれば、出版は難しいとのこと。

  • コンセプト:ストーリーの土台となるアイディアで、「もし~だったらどうなる?」という問いかけ
  • 登場人物:小説には必ず登場人物が存在し、それらの人物は7つの要素から構成されている
  • テーマ:ストーリーの意味、その小説が言いたいこと、読者に考えてほしいこと
  • ストーリーの構成:ストーリーを伝える順序、9つのパートから構成されている
  • シーンの展開:小説はだいたい50前後のシーンから構成、シーンを繋げることでストーリーとなる
  • 文体:小説は文章でストーリーを伝える、無駄なく分かりやすく伝えられる文章を書く

この本は「工学的」なのか

 インターネット上でこの本の感想について調べてみると、 「タイトルに工学的と付いているが、この本は本当に工学的なのか」というような話をよく見かけた。 そこで、私なりにこのことについて書いてみる。

 まず、「工学」の意味について調べてみた。Weblio辞典で意味をひいてみると、以下のように説明されていた。

科学知識を応用して、大規模に物品を生産するための方法を研究する学問。
広義には、ある物を作り出したり、ある事を実現させたりするための方法・システムなどを研究する学問の総称。
(Weblio辞典から引用、https://www.weblio.jp/content/%E5%B7%A5%E5%AD%A6、最終閲覧日:2020/09/08)

 広義の意味のほうに着目すれば、この本は「工学的」と言えるだろう。 なぜならば、この本では「小説を作り出すための方法」について書かれているからである。 小説とは何か、小説は何から構成されているのか、小説の構成要素はどう作ればいいのかなど、 機械の部品をバラバラに分解するかのように、小説の構成要素について述べられている。

 また、この本のタイトルに付いているのは「工学」ではなく、「工学的」である。 つまり、「工学のような考え方で小説を作ってみる」という話で、厳密に「工学」であるとは言ってはいない。 (原題に「Engineering」とあるが、それは置いておこう)。

 ということで、説得力には欠けるが、「工学的」と言ってもいいのではないかと私は考える。


ラリー・ブルックスの作品

紹介した書籍

工学的ストーリー創作入門

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その他の書籍

物語を書く人のための推敲入門

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おわりに

 ここでは、書籍「工学的ストーリー創作入門」を紹介した。 この本では何が述べられているのか、小説の構成要素とは何か、 この本は工学的なのかどうかなどについて書いた。 もし、これから「小説の書き方の本」の購入を考えている人がいれば、 参考にしていただけるとありがたい。


まとめページへのリンク

www.kurotemko.com